自然食品の紹介
ニンジン(岡山県御津町)林正弘さん
甘さとコク作り出す独特の栽培法
岡山市を経て瀬戸内海に流れ込む旭川。その上流に位置する御津町で、林正弘さん(51)
は、ニンジンを主体にタマネギ、水稲を有機農法で栽培している。
林さんは、生まれは農家だがドイツに留学し、戻って外資系の化学会社に勤めていた。それが、一念発起して農業を始めたのは、自身のアレルギー体質と“食”が関係があるのでは、と考え、感心を持ったからだという。そこで、同県総社市の有機農法を行っている農家で2年間研修を積み、3年前にこの土地にやってきた。そして、ニンジンを50アール強、タマネギ、水稲合わせて1ヘクタールの畑、水田を経営している。
12月は、7月末から9月の初旬に植えたニンジンの収穫期にあたる。加えて、来年の4月後半から6月末にかけて収穫するニンジンの種まきが重なる、最も忙しい時期である。「ニンジンの有機栽培で大変なのは、雑草との闘いです。基本的な考え方は、ニンジンの成長を雑草と競わせるわけですが、ニンジンの双葉が出た初期段階で負けてしまうと、後々まで成長に影響が残りますので、雑草対策は欠かせませんね」と、林さんはいう。
それには、2つの手法がある。雑草をなるべく生やさない抑草と、手で草を取る手取り除草である。「雑草を生やさないためには、水をやり過ぎないことと乾燥気味にすることが有効です。しかし、乾燥し過ぎると、ニンジンの芽が出なくなってしまいます。この辺りが栽培技術の一つといえます」
一方、手取り除草は手間がかかる。10アールの畑だと、畝の総延長は約640メートルにもなり、1本の畝に4列も植えているから、ニンジンの株と株の間は8−12アールになる。その間に生えた雑草を両ひざをついて、丁寧に取っていく。「目で見て畑が青くなってしまったら、手に負えません。芽が出るか出ないかのうちに、掘り起こして水の供給を絶ってしまうのです。これは効果的です」
ニンジン栽培では、病害虫の被害も無視できない。病気では、一つの畑が、黒葉枯れ病で大きな減収になってしまったことがある。害虫で注意しなければならないのは線虫だ。ニンジンが二またになってしまうなど、形が悪くなって商品にならない。予防には、雑草と同じく、水の管理が重要だという。そのため、林さんの畑は周りを掘り下げて畝を高くし、水はけをよくしてある。
「栽培技術を磨いて、雑草対策に手がかからないようにしたいですね。そうすれば、もっと規模を拡大できると思うのです」と、熱い夢を語る林さん。手塩にかけて育てたニンジンは、甘く、味に独特のコクがある。 |