知床半島の付け根に位置する標津(シベツ)町。周辺は酪農地帯で、主にホルスタイン種の牛が飼われている。ホルスタインのメスは乳牛、オスは肉牛となるが、このオス牛で安全性が高く、ヘルシーな牛肉作りに取り組んでいる農場が「興農ファーム」だ。
日本では通常、肉牛のオスは、男性ホルモンを抑えて脂肪の多い肉にするため去勢する。しかし、ここでは余分な脂肪をつけずに育てることを目的とし、去勢はしない。「脂肪たっぷりの肉は、生活習慣病のもとになる。脂肪には有害物質が蓄積しやすいのも問題です」と、農場代表の本田廣一さん。
安全性を高めるため、こだわっているのが餌だ。牧草は、自農場で有機栽培したもの以外与えない。穀物飼料は、道内産主体のくず小麦やくず米、くず大豆、米ぬか、でんぷんかす、ビートパルプ(砂糖をとるテンサイの搾りかす)などを、自農場で配合する。現在、飼料の7割以上は国産で、残りは遺伝子組み換えされていない輸入トウモロコシを使っている。
「BSE(狂牛病=牛海綿状脳症)問題が起きる前から餌には、気を遣ってきました。もちろん牛骨粉も使ったことはありません。カロリーを補うのに必要なトウモロコシも自家栽培したいのですが、標津町は気温が低くて作れない。そこで来年からは自家栽培の有機ジャガイモをトウモロコシの代わりに与える予定です」 |